今回は英国陸軍特殊空挺部隊『SAS』(Special Air Service)の元教官が執筆した本「最新 SAS サバイバルハンドブック」より興味深いエピソードが記されていたのでそれを紹介する。
軍事に詳しい人は勿論だが、マンガ「マスター・キートン」を知ってる人なら「SAS」とはどのようなものかだいたいわかるだろう。(この漫画の主人公がSASに所属していた過去を持つ)
タイトルにある「カタツムリのおかげで助かった」とは以下のとおりである。
モンスーン気候は私にとっていい思い出はない。1963年SASの現役隊員であった私は、ボルネオに地形などの情報収集のために派遣された時、嫌というほどモンスーンの被害にあった。
長期間にわたる作戦が完了に近づきつつあったその日、我々のキャンプは豪雨に見舞われ、水没してしまったのだ。私は着ている戦闘服以外の個人装備をすべて失ってしまった。雲が低く立ち込めていたため、補給物資の空中投下は不可能で、熱帯性の暴風雨により無線が通じなかった。あたり一帯が洪水で押し流されてしまったため高台へ非難しなければならなかったが、河川は増水し、地すべりも起きていたため移動は非常に困難であった。ヘリコプターが安全に離着陸できる収容ポイントまで移動するのに5日間もかかってしまった。
この5日間、我々が口にしたものといえばわずかなレーションだけであった。レーションの中身は、硬いビスケット、ナッツとレーズン、チューブに入った蜂蜜、そして60グラムの程度の肉に塊であった。我々は4人ですべて分け合った。
普段でもジャングルで食料を得ることは難しい。魚を捕まえることができれば一番だが、難しいようなら、ヤシの実や根菜、植物の芽などを集めればよい。しかしこのときは洪水ですべて流されてしまい、動物を捕まえようと思ってもすべて逃げ去ってしまっていた。そのため収容ポイントまでの行程で食料を得ることができなかった。
どうにか収容ポイントまでたどり着いたものの、ヘリはまだ到着していなかった。そこで我々が見つけたものは、大きな白い『カタツムリ』であった。カタツムリを捕まえて、蒸したり、焼いたり、ゆでたりして食べた。ときには生で食べてみたが、味は最悪であった。とはいえその時の我々にとっては唯一の栄養源であった。お互いの肉(身体)がうまそうに見えるときが近かったが、カタツムリのおかげで『共喰い』をすることだけは避けることができたのだ。
この体験で得た教訓
1 サバイバルキッドは常に携行する
2 食べられるものは何でも食べる(これはかなり重要だと私も思う。)
3 栄養を蓄えておく
4 自分のサバイバル技術がどの程度なのを知り、
訓練を怠らない。
この本にはハンティングの方法、負傷した際の応急手当、ロープの結び方、火の起こし方など様々な実践的サバイバルテクニックが多く紹介されている。
東日本大震災以後、大規模災害のあと救援が来るまでどのように生き延びるか、そして普段からどのような準備が必要なのかということが現実的検討課題として我々の眼前にある。その際このような軍事サバイバルマニュアルなどの本は大変有益な情報を我々に与えてくれる。机上の空論ではなく実体験に基づいているため信頼性が高い。
他にも多くの興味深いエピソードが記載されているこの本、一読の価値がある。
著者 ジョン・ワイズマン
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