1995年のアップルのCMに出てくる筒井康隆演じる「Mac夏目」
筒井康隆の作品を集中的に読んでいた時期がある。私の好きな作品は「文学部唯野教授」「虚人たち」など。一応筒井康隆の全集も持っている。日本を代表するSF作家である筒井康隆。小松左京、星新一と並び評される作家。
小松左京
星新一
欧米圏におけるSF御三家、アイザック・アシモフ、ロバート・A・ハインライン、アーサー・C・クラーク。
アイザック・アシモフ
ロバート・A・ハインライン
アーサー・C・クラーク
筒井康隆はどれにあたるだろうか?筒井の作風はハードSFではなく、ドタバタコメディのなかで人間の「深層心理」をえぐり出す作風とでも表現すべきだろう。多くの作家はその作品において「実験」を行う。筒井康隆は文学的実験を多く実施している。
「残像に口紅を」では言葉が「消滅」してゆき「虚人たち」では主人公が気絶している間真っ白のページが続くなど「実験」の連続。実験の連続は読者を「疲労」させるパターンも多い。実験つながりで言えば円城塔の作品も実験的。円城塔の作品は著者の該博な科学知識が多く使用されている。物理学や数学などの科学用語は理解できるが、文学における実験を「解読」することは非常に困難である。百人いれば百通りの解釈が可能な文学の奥深き世界。奥深き世界に一度足を踏み入れれば文学の「深き森」の中に迷い込む人間も多い。それを好む人間もいる。だが私は好きではない。好きではないがそのような自分を「世界」に埋没させる「力」を作家というものは持っている。それはある意味で「魔術」である。偉大な魔術師は私達に「幻想」と「現実」の境界線を曖昧なものとする。筒井康隆は「偉大な魔術師」のひとりである。
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