中村元
「学ぶことの少ない人は牛のように老いる。
かれの肉は増えるが知恵は増えない。」
(ダンマパダ 原子仏典のひとつ)
『仏教の教えというものは、上に輝く日月のようなものである。太陽や月があらゆる人を照らすように、仏教の教える真理というものはあらゆる人に明らかなものであり、あらゆる人を照らす 。
続けて釈尊はこう言った。
もしも、自分が人々を導くのであるとか、
あるいは、この修行者の仲間が私を頼っているとか 思うならば、私が死ぬということは大変なことであろう。しかし、私は自分がみんなを導くなんて思ったこともない。またみんなが自分を頼りにしているなどと思わなかった。自分はただ人のよるべき真理、真の生き方というものを明らかにしたそれだけなのだ。
だから なにも自分が消えて亡くなったからといって嘆き悲しむな。
およそこの世ものでいつまでも破れないで存続し続けるものは何もない。いつかは破れ消えうせるもである。
その道理を私はお前たちに今まで説いてきたではないか。ただ私はそこにある一貫した真理というもの、それを説きあかしてきた。だからそれに頼れ。
この変転 常ない世の中では、まず自分に頼るべきである。
自分に頼るとはどういうことであるか。自分はこの場合にどうすべきかということを、その場合 その場合に考えることである。その場合 何を判断決定の基準にするのか。それは「人間としての道」「法」(ダルマ) この人間の理法というもの これに頼ること「自己に頼れ、法に頼れ」これが釈尊の最後の教えである。』
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